未病のおはなしⅢ 第6話

湿邪・暑邪の季節に備えて発散を

今年は、「ようやく新緑の候」を迎えた気がします。夏日になるかと思えば、急に冬の寒さに戻ったり、すっきり晴れない日が続いたり……と安定しない気候だったため、なんとなく元気が出ない未病の方が多くおられることでしょう。これからは、湿邪の梅雨、暑邪の夏へと季節が移っていくのですが、今のうちに十分からだを動かしてエネルギーを発散し、体調を整えることを心がけてください。
夏は「蕃秀」の季節。すなわち植物が茂って花が咲き乱れ、美しいことを意味しています。ヒトも全開の花のように、老廃物をからだの外へパアッと発散できればいいのですが、うまくいかないと熱がからだの中にたまります。暑い夏に働きすぎてオーバーヒートするのは、五臓のうちの「心」です。「心は、血脈を主り、神を蔵す」といわれ、心臓だけでなく全身の血液の流れや小腸、精神や思考の調節にも関係します。ですから「心」が弱ると、栄養の吸収が悪くなるばかりでなく、息切れや動悸、不眠、脱力感などの症状が現れます。
五味の中で「心」を養う「苦味」には、タケノコやフキ・ゴボウ・ゴーヤ・魚の内臓・緑茶・紅茶・コーヒー・ビールなどがあります。また熱を冷ます旬の食材は、スイカ・トマト・キュウリ・ナス・冬瓜などですが、冷房の利いた部屋にいることが多く、暑邪対策に集中できないのが現代人です。
こもった熱を発散することも必要ですが、冷やしすぎないことの方がもっと大事。白い食品(白米・小麦・白砂糖・白ゴマ・白ワイン)よりは、色の濃い食品(玄米・雑穀・黒砂糖やはちみつ・黒ゴマ・赤ワイン)を選び、ショウガやトウガラシ、クローブやシナモンなどの香辛料やハーブ、納豆やヨーグルトなどの発酵食品をうまく取り入れて、冷えすぎないように工夫してくださいね。

監修:キリン堂 未病医療サポート室 杉本幸枝(薬剤師)