未病のおはなしⅢ 第5話 肝

まずは発散して血と気の流れ円滑に

桜の便りが日本列島を縦断する季節が近づきました。日本の風物詩である野外のお花見に、今では風(風邪)に乗ってやってくる花粉や黄砂、PM2.5による健康被害の心配があります。花粉による鼻や目の症状だけでなく、黄砂による呼吸器障害、さらには、より粒子の細かいPM2.5による循環器障害など重篤化することが社会問題にもなっています。これには、体質改善など悠長なことでなく、まずはメガネやマスクで避けることしかありません。
東洋医学的に春は、のびのびと人も自然もエネルギーが沸き起こる季節です。冬の間にため込んだ満ちあふれんばかりのエネルギー(気)を活動的に発散することが養生になります。五臓では「肝」が最も関係します。「肝は、血を蔵し、疏泄を主どる」とされ、からだを巡る血をためたり量を調節したりして、血と気の流れを円滑にするはたらきがあり、西洋医学の肝臓とは少し違っています。「肝」は六腑のうちの「胆」をコントロールして、消化吸収を助けるほか、関節や靱帯・筋肉・爪・目とも関係します。
自然に逆らって発散しないでいると、気が上昇して、めまいやのぼせ、アレルギー性の鼻炎や結膜炎など上半身のトラブルが起こったり、筋肉のけいれんやこわばりの原因になったりします。また「肝」のはたらきが亢進することにより、怒りっぽくなったり鬱になったりと情緒が不安定になる場合もあります。外出ができない日には、せめて家の中でまめに家事をしたり、ストレッチやスクワットをしましょう。そして「肝」のためには、酸味のある食べ物が大事です。イチゴ・オレンジ・キンカンのような旬の果物や酢の物を意識して取り入れてください。フキノトウやワラビのような旬の山菜を天ぷらにして食べる時にもレモンやスダチのひとしぼりを利かせましょう。

監修:キリン堂 未病医療サポート室 杉本幸枝(薬剤師)