未病のおはなしⅢ 第4話 脾

年末年始で疲れた消化吸収器官を休める

新年が明けて、ひと月近く経とうとしています。何かと気忙しく会食の機会の多い年末、たくさん食べて運動不足になりがちな年始を過ごし、体重計にのって、ため息の人もおられることでしょう。前回お話したように、寒い時期には引き続き「腎」が弱っているのに加えて、暴飲暴食により「脾」の働きが相乗的に弱ってしまいがちです。
東洋医学の「脾」は、西洋医学の脾臓とは異なり、消化吸収を担う器官を総称しています。「脾は運化(運搬・消化)を主る」と言われ、具体的には食べたものを消化し、栄養分や水分、エネルギーのもととして全身に行き渡らせます。「腎」が「先天の本(両親からいただいた気をためておく)」に対して、「脾」が「後天の本」とされるのもこの栄養分の供給という働きによるものです。
ちなみに、1月7日の七草粥は、弱った胃を養生するために食べるとされています。七草のそれぞれに働きがありますが、特にホトケノザには、健胃・整腸作用があるといわれ、スズナ(カブラ)やスズシロ(ダイコン)には、消化酵素が含まれます。
「脾」が衰えると、食欲不振・腹痛・下痢のような消化器症状から、全身へ栄養が行きわたらなくなって全身倦怠感やむくみが起こります。
この時期の未病対策はまず、外因の「寒邪」から身を守ること、そして内因の「食欲」に耐えることです。かといって、すでに食べ過ぎて食欲不振になってしまった場合は、それ以上栄養をつけようと食べないこと。消化器が休息を求めています。ゆったりとした入浴と長めの睡眠で自然治癒力を高めましょう。食欲が戻ったら、消化のいい湯豆腐で良質のたんぱく質を取り、カボチャやカブのような根菜、ホウレンソウやチンゲンサイのような旬の野菜をゆっくりよくかんで食べることで、体の中から温まりましょう。

監修:キリン堂 未病医療サポート室 杉本幸枝(薬剤師)