未病のおはなしⅢ 第2話 肺

気のエネルギーや「水」を全身に巡らす鍵

猛暑が過ぎ、風には秋の気配が感じられます。ほっとして、この季節に夏バテの症状が出ることがありますので、油断大敵です。暑さの残る日中と朝夕の寒暖の差から自律神経が乱れて起こる初秋のトラブルです。解消方法は、早寝・早起きと夜の熟眠。ぐっすり眠るには、朝ごはんをよく噛んで食べ、寝る前には熱いシャワーでなく、ぬるめのお風呂にのんびりつかることが手っ取り早い対策です。
この時期は、夏のジメジメした空気からさらりと気持ちのいい空気になる一方で、五臓の中の「肺」と関連する六腑の「大腸」が、乾燥に侵入されやすいとされています。現代医学の肺は、呼吸器官であるのに対し、東洋医学の「肺」は鼻・咽喉・気管・気管支や皮膚呼吸に関する皮膚の毛穴や汗腺までを含み、「宣発・粛降を司る」とされています。「宣発」とは、気のエネルギーや「水」を全身に巡らせたり、汗としてからだの外へ発散させたりする働きをいいます。また「粛降」とは、五臓の中でからだの下の方へ向かっておろすことです。これは、大腸の働きを整えることにも関係します。
言い換えれば西洋医学的な「肺」は単独で、単一の呼吸を担当しているのに対して、東洋医学では消化器「脾」、循環器「心」、泌尿器「腎」ともバランスをとっていると考えます。「肺」の働きが落ちることで、咳や痰、上半身のむくみなどが起こり、これに便秘のような大腸のトラブルが加わると、症状が治まりにくくなります。
超高齢社会の日本では、誤嚥性肺炎や慢性閉塞性肺疾患(肺気腫・慢性気管支炎)が増えています。「肺」の養生にはまず禁煙と正しく深い呼吸。そして梨や柿、ブドウなど旬の果物でからだを潤し、ゴボウ・白菜など旬の野菜で、便通をよくすることが基本となります。

監修:キリン堂 未病医療サポート室 杉本幸枝(薬剤師)