未病のおはなしⅢ 第1話

自然界と響き合う からだと心の小宇宙

節電に気を配りながら、「暑邪」と「湿邪」に注意が必要な夏本番となりました。二つの外邪は、熱中症や夏風邪、夏バテなどのもと。私たちから元気を奪い、反対に細菌やカビを活発に働かせます。具体的には、食欲不振・睡眠不足・意欲の低下・胃腸障害・皮膚のトラブルなど、全身症状から部分的な症状までさまざまな不調をきたします。「だるい」「眠い」「痛い」「かゆい」・・・・・・。つい口に出てしまう季節ですね。
私たちのからだは、60兆個の細胞からなり、似たような働きの細胞が集まって、消化を担当したり、呼吸を担当したりする器官を形成しています。西洋医学では、消化器・呼吸器などその器官ごと、あるいは内科・外科・皮膚科のような診療科ごとに受診しますが、東洋医学では、一人のからだと心をひとつの宇宙として捉えます。五臓や六腑が相互に関連するばかりでなく、肌の状態や舌の形状、心の状態までも関係し合っているという考え方です。
このような考えを表す言葉を二つご紹介しましょう。まず「心身一如」、これは心と内臓や他の機能とは密接に関係しており、切り離せないということ。もう一つは「天人相応」、これは「天(自然界の仕組み)」と人の仕組みは基本的に同じであり、人体の生理・病理は自然界の変化と相応関係にあるということです。
個々の小宇宙の中を流れることで健康を維持しているのが、目に見えない生命エネルギーともいうべき「気」と血液を代表とする色のついた液体「血」、そしてリンパ液を代表とする無色の液体「水」です。外部の環境(外邪)や自分の精神状態(内因)により、五臓六腑や気・血・水の流れに不具合が起こると「未病」になります。それでも不摂生を続けていると、連鎖的に小宇宙が乱れて病気に向かうことになります。シリーズ第3弾では、五臓からのサインとその養生についてお話します。

監修:キリン堂 未病医療サポート室 杉本幸枝(薬剤師)