未病のおはなしⅡ 番外編1

次世代に伝えたい だしのうまみ

第1回で、食材には東洋医学的に五種の味(酸っぱい・苦い・甘い・ピリ辛い・塩鹹い)があるとお話しましたが、日本人にとっては、これらのほかに「うまみ」も大切です。京都大学の伏木亨教授によると、日本人が病みつきになる「おいしさ」は「脂肪・砂糖・だし」。最近とくに「フワフワ・トロトロ」の食感がもてはやされ、「口の中でとける」「噛まずにすむ」ことが若い世代にも好まれているようですが、このフワトロの正体は脂肪と砂糖ですから、食べすぎるとどうなるかは、ご想像どおりです。マヨラーといわれる油ブームも病みつきになる結果といえるでしょう。また、「噛む」ことがないがしろにされているのも問題です。「よく噛む」ことは、消化を助けるだけでなく、食べすぎを防いだり、添加物の害を減らしたり、認知症の予防にもなるなど多くの効用が認められています。
「脂肪・砂糖・だし」の中で日々の食事に積極的に取り入れ、次世代にもしっかり伝えていきたいのは「だし」であり、うまみです。代表的なうまみ成分は昆布のアミノ酸であるグルタミン酸と、かつお節や煮干しに含まれるイノシン酸で、この二つを組み合わせることでより一層のうまみを引き出すことができます。昭和の時代、昆布を一晩水につけて翌朝取り出し、家で削ったかつお節を入れてひと煮立ちさせることで、だしをとっていました。朝ごはんには、この一番だしでみそ汁を作り、二番だしで煮物を作っていたものです。そのような記憶のある世代にとって、うまみはからだにやさしい味覚ですが、もの心ついたころから、できあいのお惣菜に慣れてしまった今の子どもたちにもぜひ、うまみのわかる味覚を取り戻してほしいものです。ほっこりするようなだしを味わえると、「切れる」ということにはならないと思うのです。

監修:キリン堂 未病医療サポート室 杉本幸枝(薬剤師)