未病のおはなしⅡ 第6回

消化管を弛める“甘み”取りすぎに注意

五味の最後を飾る「甘み」は、赤ちゃんから高齢者まで年齢や性別を問わず、最も幅広く好まれる味です。お酒好きな左党であっても甘いものを好む雨風(落語「蛇含草」に出てくる甘辛のシャレ)の方は多いのではないでしょうか。
「甘み」は、穀物・豆・肉・魚・種実・野菜・果物など多くの食品がその性質として持っていますから、日常、普通の食事をしていると、不足することはなく、むしろ取りすぎに注意が必要です。食品だけでなく、名前の通り甘い生薬の「甘草」も、漢方薬を全体的に調和したり、味を中和したりする作用があるため、多くの漢方薬に含まれています。たとえば、のどの痛みに服用する甘草湯や桔梗湯、風邪の初期の葛根湯や麻黄湯、花粉症の小青龍湯、内臓脂肪の防風通聖散など、挙げていればきりがありません。また、日本では甘草由来の甘味料も食品添加物として認められていますので、複数の漢方薬を服用している場合は食品の成分表示を確認しましょう。
東洋医学的に「甘み」には、滋養強壮と「弛める」作用があり、胃を始めとする消化器・筋肉や口に働きます。甘いものは、すばやくエネルギーになるばかりでなく、脳内に快楽物質が生じるため、疲れた時にはケーキやチョコレートのような甘いお菓子が食べたくなります。「ストレス太り」は単なる言い訳ではないのですね。甘いものを見て、食欲が生まれると、消化管の動きを活発にして胃に弛みができるとともに、内容物を送り出して隙間を作ります。これが「別腹」のしくみ。甘い誘惑に負けて食べ過ぎると、からだを冷やして免疫力を落としたり、脂肪をため込むことになったりします。我慢するとそれもストレスになる方は、午後3時に決めて食べると、脂肪になりにくく、夕食の食べ過ぎを防ぐのでお勧めです。

監修:キリン堂 未病医療サポート室 杉本幸枝(薬剤師)