未病のおはなしⅡ 第5回

からだ引き締める“酸み”で新陳代謝促す

立春(2月4日)からまもなく3週間、暦の上では寒さのピークを越えました。実際にはまだ余寒が厳しいとはいえ、確実に日は延びて自然は陽気を増してきています。
春の穏やかなぬくもりの中で、気をつけてとりたい味は「酸み」です。酸っぱい食べ物は、イチゴや梅・サクランボ・オレンジ・ミカン・リンゴ・パイナップル・レモン・トマト・ヨーグルトなど。五味(酸苦甘辛鹹)の中でも酸みの食材は、果物以外にはあまり多くはありません。しかし調味料としては、酢だけでなく、味噌や醤油にも鹹み(塩辛味)の中に酸みが含まれます。酸みは発酵や腐敗の目安ともいえる味覚です。化学的な観点からは発酵と腐敗のメカニズムに差はないのですが、私たち人間にとって、都合の良いものを発酵食品とし、悪いものを腐っている(腐敗)としています。
東洋医学的に酸は、肝、胆、目、筋肉、神経に良いとされ、引き締める働きがあります。酸っぱいものを食べた時に口がすぼんでしまうことからも収れん作用のあることが想像できます。また酸みは、血流や新陳代謝を促し、動脈硬化や梗塞を予防する効果が期待できます。運動などで筋肉を使ったあとは、酢酸やクエン酸が疲労回復を助けます。ただし、取りすぎると胃に負担がかかりますから、寿司のようにたくさん酢を使う時には、砂糖(甘み)と塩(鹹み)で調和します。
調味料としてのはたらきには①塩味を引き立たせたり、食材に浸透させやすくしたりする(塩を減らせます)②揮発性により、食材の香りを引き立たせる(この性質のため、酸っぱいものを食べる時むせる方がおられますね)③殺菌力があるので、ピクルスや酢漬けのように長期保存ができます。他に灰汁を抜いたり、変色を防いだり、最近はお掃除用の商品も出ています。五味の中では、「大人の味」ですが、どうぞ、酸いも甘いも噛み分けて楽しんでください。

監修:キリン堂 未病医療サポート室 杉本幸枝(薬剤師)