未病のおはなしⅡ 第4回

からだ温める“鹹み”天然塩を良い塩梅で

短い秋が過ぎ、立冬(11月8日)からすでにひと月が過ぎました。この季節の養生は、からだを温めることが何よりなので、温める食品・温かい食事をとることになります。温める食品とは、旬のうち、ニラ・ネギ・カボチャ・サツマイモ・山芋・紅鮭・牡蠣・栗・リンゴなど、またからだを温める味は、五味の中で「鹹み(塩辛み)」が担当します。高血圧や脳血管疾患との関係性から戦後、減塩が推奨されてきました。今ほど暖房器具が整っていなかったため熱いものを食べることで温まり、流通が発展していなかったために塩漬けなどの保存食が必要だったことも塩分とりすぎの原因だったのでしょう。今でも私たちの舌は、熱いと塩分を感じにくくなるので、みそ汁などを作る際には注意が必要です。五味の「鹹み」は、精製された塩(塩化ナトリウム)ではなく、なるべく天然の塩と食品からとるようにしましょう。天然の塩には、「苦汁(マグネシウム・カリウム)」やカルシウムが含まれているので、これらのミネラルが鹹みを調和し、腎や膀胱を守ります。そして海産物や魚からミネラルやたんぱく質をとることは、海に囲まれた日本人として自然な身土不二といえます。
「塩」は調味料としても多くの役割を担い、味付け以外に①脱水(キュウリの塩もみ)②酸化防止(リンゴ・ジャガイモ)③色止め(緑の葉野菜)④防腐(浅漬け・梅干し)などの働きがあります。からだの中の水分(生理食塩水)の濃度は約1%ですから、同じくらいの塩分を最もおいしいと感じます。最近では、油を使う料理が増えてきたことで、減塩をしても昔のように水くさい・味気ないと感じずにすみますが、今度は脂肪のとりすぎによる動脈硬化の増加が問題です。塩味と梅の味が調和の取れていることから「塩梅」ということばが生まれたように、からだにとって大事な栄養を良い塩梅でとってくださいね。

監修:キリン堂 未病医療サポート室 杉本幸枝(薬剤師)