未病のおはなしⅡ 第3回

バランスの良い“辛味 + 酸み + 塩辛み”

しのぎやすい「天高く馬肥ゆる秋」が巡ってきました。今年は春から天変地異の繰り返しで、自然への畏怖の念を改めて持たざるを得ませんでした。澄み切った青空を仰いで深呼吸すると、少しは胸のつかえが軽くなる気がします。暑さで食欲がなかったり、胃が弱っていた人も元気を取り戻す絶好の季節です。
秋の養生は主に二つ。まず一つは、さらっと爽やかな半面、からだも乾燥しやすいので注意が必要ということ。二つめは、旬の食材の多い「実りの秋」だけに、馬のように「肥ゆる」ことのないようからだを動かす習慣をつけること。
特に乾燥には注意が必要です。肺は乾燥に弱く、風邪やアレルギーなど呼吸器系に異常をきたしますし、大腸が乾くと便秘になりやすくもなります。呼吸器を潤し、こもったものを発散させるピリ辛い食品や水分の多い食品をとるようにしましょう。からだの乾燥を抑える食品としては、梨・柿・ブドウなど水分の多い旬の果物が最適。また辛み食品の代表トウガラシ・ワサビ・胡椒・山椒などは、舌の味細胞で感じる酸み・苦み・甘み・塩辛みなどと違って、痛覚を刺激します(肌に触れても痛いですよね)。普通の和食では大量に食べませんが、食べ過ぎると胃腸を傷つけるのでご注意ください。また、辛みに酸みと塩辛みを合わせるとバランスが良くなります。「焼きたての秋刀魚」には大根おろしとスダチやカボスを、「ワカメやモズクの酢の物」には針生姜を、「アサリの酒蒸し」にはレモンを添えてください。赤貝とネギの酢味噌和え、大根・カブのピクルスや浅漬けもいいでしょう。ビール以外のお酒は辛みに入るものが多いので、酸みの肴をうまくとり合わせ、揚げ物は控えめに。そして毎日おいしく食べて飲むには、すがすがしい空気の中をさっそうと歩くことが大切です。いつもより速く、より長い距離を心がけて…。

監修:キリン堂 未病医療サポート室 杉本幸枝(薬剤師)